診療のご案内
首の病気
<主な疾患>
頭頸部腫瘍、頸部リンパ節炎、唾液腺腫瘍など
頭頸部腫瘍とうけいぶしゅよう(口腔腫瘍こうくうしゅよう・頸部腫瘍けいぶしゅよう)
病気・症状の概要
頭頸部とは脳より下の頭部から眼と頸椎を除いた鎖骨までの間の領域を指し、その領域にできる腫瘍を頭頸部腫瘍と言います。頭頸部腫瘍には鼻・副鼻腔腫瘍(鼻の中)、口腔腫瘍(舌や歯肉などの口の中)、咽頭腫瘍(口や鼻の奥から食道の入り口まで)、喉頭腫瘍(声を出すところ)、唾液腺腫瘍(顎下腺や耳下腺など唾液をつくるところ)、甲状腺腫瘍(代謝を調整してくれるホルモンを分泌するところ)が含まれます。腫瘍には良性・悪性(がん)があります。頭頸部は息をする・声を出す・食べるなどの重要な機能に関わりますので、悪性腫瘍そのものや治療によって生活の質の低下を引き起こしてしまう可能性があります。早期のものであれば機能低下を最小限にできる可能性があり、早期発見・早期治療が重要となります。また治療後でも腫瘍によっては再発しやすいものがあり、定期的な経過観察も重要です。
検査・治療方法
血液検査や内視鏡検査・CT・MRIなどの画像検査をするとともに、腫瘍の種類を確認するために腫瘍の一部を摘出して診断(細胞診、生検)をつけます。腫瘍によっては治療せずに経過観察となることもありますが、治療には専門施設による集学的治療(手術、化学療法や放射線治療など)を目的にご紹介させていただきます。
頸部リンパ節炎
病気・症状の概要
首には100から200個程度のリンパ節があり、お子様や首の脂肪が少ない方は正常でもリンパ節は複数触れることができます。リンパ節が腫れる原因で主なものはウイルスや細菌感染に伴う炎症によるものですが、中には癌(がん)のリンパ節転移や、リンパ節そのものが悪性化する悪性リンパ腫という病気ということもあり注意が必要です。通常のリンパ節炎の場合は痛みを伴うことがほとんどで、のどの痛みとともに腫れることも多くあり、倦怠感や発熱がみられることもあります。
検査・治療方法
触診でリンパ節の腫れの状態を確認します。血液検査で炎症の状態や原因を確認するとともに必要あればCTなどの画像検査を行います。また内視鏡で咽頭や喉頭にリンパ節の腫れの原因がないかどうか確認することもあります。
通常のリンパ節炎であれば抗菌剤や解熱鎮痛剤の服用などの薬物療法が中心となります。腫脹や症状が強い場合は抗菌剤やステロイドの点滴治療を行うこともあり、炎症がさらに重度で周囲に膿が溜まってしまっている場合は切開を伴う外科的な治療が必要となることもあります。また通常のリンパ節炎でない可能性が高く、精査が必要な場合においてはご紹介させていただくことがあります。
唾液腺炎だえきせんえん(顎下腺炎がっかせんえん・耳下腺炎じかせんえん)
病気・症状の概要
唾液腺には大小いくつかあり、耳の前から下にかけて存在する耳下腺とあごの骨の下あたりに存在する顎下腺が大きなものになります。唾液腺炎とはその唾液腺に炎症を起こした状態の総称です。原因としては口腔内の雑菌が引き起こす細菌性、おたふく風邪の原因となるムンプスウイルスを代表としたウイルス性、唾液腺の中や唾液が通る管(唾液管)に石がつまることによる唾石症、シェーグレン症候群やIgG4関連疾患を代表とした自己免疫疾患などがあります。
検査・治療方法
血液検査で炎症の状態や原因について調べます。唾石症が疑わしいようであればCTで石の存在を確認します。細菌性炎であれば抗菌剤や解熱鎮痛剤の服用で改善していきますが、おたふく風邪をはじめとしたウイルス性の場合では特効薬は存在せず、解熱鎮痛剤による対処療法になります。唾石症の場合は繰り返すので根本的な治療としては石を摘出したり、石の場所によっては唾液腺ごと摘出する手術が必要となります。自己免疫疾患が疑わしい場合においても確定診断には手術が必要となることもあり、その場合は専門施設へのご紹介をさせていただきます。